2015年2月2日

本場大島紬の見分け方(2) 絣(かすり)の見方

12月のきもの塾でテーマに扱った「本場大島紬」について
勉強会のなかでいくつか目利きのポイントをご紹介しましたので記事にもまとめたいと思います。

今回は「本場大島紬の見分け方(2)」と題し
本場大島紬の特徴である「絣(かすり)」の見極め方について解説します。



■ 絣糸の使い方による区分 ~経緯絣と緯絣~


「絣(かすり)模様」とは、糸の一部を地色と異なる色に染めることで描き出す模様です。

本来は、経糸の絣と緯糸の絣を交差させることで描き出すものですが
効率性・生産性の面から、緯糸だけで表現された絣もあり、以下の2種類に区分されます。


(1)経緯絣(たてよこがすり)


・経糸と緯糸の絣を交差させることで絣模様を表現します
・経糸、緯糸の両方が絣糸になっています
・図案が経緯の2軸で描かれるため、緯絣に比べて模様がくっきり表現されます
・経糸、緯糸両方の交差点をしっかり合わせる高度が技術が必要となります




(2)緯絣(よこがすり)


・緯糸だけで絣模様を表現します
・経糸は無地(または縞)、緯糸だけが絣糸になっています
・緯糸だけで描かれるため、模様が横方向にぼやけた印象になります
・技術的には、経緯絣に比べて一般的に簡易となります






■ マルキ数による区分 ~絣糸の細密さを表す単位~


「マルキ」とは本場大島紬に用いる独特の単位で、
縦緯絣を作る際に、経糸・緯糸それぞれに含まれる「絣糸の本数」をあらわす単位です。

(先述した「経緯絣」にのみ適用される表現で、「緯絣」にはマルキという単位は存在しない点がポイントです。 )


写真でいう解像度と同じ考え方で、
同じ図案を描く場合、マルキ数が増えるほど、図案がより細密に描かれ、
滑らかでくっきりとした表現が可能となります。

同時に合わせる糸数が増え、絣合わせの手間がかかる分、高価になります。



(1)マルキ数の単位
・1マルキ = 絣糸80本 で計算されます

(2)マルキ数の種類
・存在するマルキ数の種類は五、七、九、一二の4種類です。
五マルキ(絣糸 400本)
七マルキ(絣糸 560本) : 一番出荷量の多いマルキ数
九マルキ(絣糸 720本)
十二マルキ(絣糸 960本) : ほとんどありません





■ 糸の配列方法による区分 ~片ス式、一元式~


絣糸と地糸(泥染め等された絣以外の地色になる部分)をどのように組み合わせて
絣模様を表現するか、という区分です。

(こちらの区分も「縦緯絣」にのみ適用されるもので、「緯絣」には片ス、一元ともに存在しない点がポイントです。)


(1)片ス(かたす)式


・【絣糸1本:地糸3本】の計4本の繰り返しで、絣模様を表現する方法
・絣ひとつひとつがアルファベットの「T字型」に見えるのが特徴
・生産効率の点から、現在の主流となっています





(2)一元(ひともと)式


・【絣糸2本:地糸2本】の計4本の繰り返しで、絣模様を表現する方法
・絣ひとつひとつがくっきりとした「十字型」に見えるのが特徴
・片ス式の商品に比べて技術難易度が高く、高価





※戦前の本場大島紬には「割込式」がみられますが現代は稀のため割愛しました。



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今回は本場大島紬の「絣模様」に着目した見分け方をご説明しましたが
いかがでしたか?

次回は本場大島紬テーマの総まとめとして
『自力で本場大島紬の価値を把握するポイントまとめ』をお届けしたいと思います。



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