名物裂文様(めいぶつぎれもんよう)の一つ、『荒磯(あらいそ)』。
荒磯とは、本来荒波が打ち寄せる岩の多い海辺を意味しますが、
荒磯文様においては、波間に踊る鯉(コイ)の姿を荒磯に見立てたもので
荒い波の間を泳ぎ回る魚を表した図案です。
名物裂の発祥地・中国において、鯉は縁起の良い魚=「吉祥魚(きっしょうぎょ)」と言われ
とてもおめでたい縁起物とされてきました。
「鯉が川を遡って竜の門に辿り着き、大きな竜に生まれ変わる」
いわゆる出世魚として大切に扱われてきたわけです。
写真の帯は、この荒磯文様が全通で織り上げられた九寸名古屋帯。
落ち着いた紫色の濃淡によって表現された、シックで上品な図案が魅力的な作品です。
今回ご紹介した荒磯をはじめとする「名物裂(めいぶつぎれ)」は、
鎌倉時代から江戸時代初期にかけて中国等からもたらされた染織品の一群です。
元、明、清時代に中国等で製作された
金襴(きんらん)・緞子(どんす)・錦(にしき)・間道(かんどう)などが含まれます。
明日(8/20(水))の着物勉強会『きもの塾』では
この「名物裂文様」と「正倉院文様」について勉強する予定です。
染織品の魅力を感じるには、本物をたくさん見ることが何よりの近道です。
「きもの塾」では反物や仕立て上がり品を多数お持ちして
参加者の皆さまに直接ご覧いただいています。
ご興味がありましたら、ぜひご参加くださいませ。
<8月のきもの塾 | 「正倉院文様」と「名物裂」>
・日時 2014年8月20日(水) 13時15分~15時15分
・場所 読書空間みかも(東急東横線「自由が丘」駅より徒歩6分)
・費用 一般1000円 みかも会員500円 ※茶菓付き
・参加方法 着楽舎までご連絡ください(申込みフォーム・メール・電話)
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