2015年4月19日

着物のお手入れ方法~今日から自分で出来る事・専門家に任せるべき事~(第47回 着物勉強会「きもの塾」開催レポート)



4月の着物勉強会「きもの塾」は『着物のお手入れ』『西陣引箔帯』の2部構成にて開催しました。

着物を着る方ならみな知りたい「自分でできるお手入れと、専門家に任せた方が良いお手入れ」。
その違いと、「なぜ?」をすっきりさせるのが第一部。

今や手がける職人が減り、希少性が増している「引箔帯」について
どんなものなのか、なぜ職人が減っているのか、その魅力は?というお話が第二部でした。


今回の記事では『第一部 着物のお手入れ』についてレポートをお届けします。


■専門的なお手入れの必要性を減らすために、今日から自分で出来る事



着物は着て出かけるものですから、汚れるのはある意味、当然です。
まず大事なのは「汚れを把握すること」「汚れがエスカレートするのを防止すること」。
そのために誰でもすぐに取り組めるお手入れ方法を3点ご紹介しました。

▼着物を「脱いだら吊るす」を習慣に

着物を脱いだ後にお願いしたいのは「2日間ほど風通しの良い室内に吊るしておく」こと。
汗や湿気を着物から取り除き、カビるのを未然に防ぐために大切な作業です。

▼汚れ箇所をしっかりチェックして、メモして、忘れない

それから畳むとき。
衿(えり)、袖口(そでくち)、裾回り(すそまわり)など、汚れる可能性がある場所をチェックすること。
もしファンデーション汚れなど見つけたら、たとう紙にメモ書き等して覚えておくことをおすすめしました。
ある程度そのまま着て、【そろそろ丸洗いに出そうかな】というタイミングで、
あらかじめメモしておいた汚れを一緒に伝えると、 落とすべき汚れを漏らさずに処理できます。

▼カビの原因となる「たとう紙」はいつも清潔に

着物・帯を包んでいる「たとう紙」。これが黄色くなっていたら要注意。カビています。
紙は湿度を吸うもの。よって月日が経つと必ずカビてきます。
たとう紙を定期的に新しいものと取り換えることで、着物にカビが移るのを防ぐことができるわけです。
100円くらいの安いたとう紙でもOKなので、定期的に交換することをおすすめしました。



■お手入れは腕の良い専門職人に任せて着物を長持ちさせる



絹(シルク)はタンパク質で、生き物とも言えるほど、デリケートな素材です。
また、縮緬地、紬、お召、絞りなど、染織技法によってもお手入れ方法に大きく違いがあります。

大切なお着物・帯については、安易に自力でお手入れを試みると
万が一失敗した場合の修復に大変労力がかかることをまずご説明しました。

▼特に注意してほしい、留袖や喪服などの黒地の着物

黒留袖や喪服に代表される黒地の着物。
同じようで、「黒色」ほど再現がむずかしい色はないと言われています。
ファンデーション汚れや、汗しみ。通常の着物でしたら複数回着てからのお手入れでも大丈夫ですが
黒色の着物についてはできるだけ早いお手入れをおすすめします。

▼基本的なお手入れは「丸洗い」でOK

着物における「丸洗い」というのは、まず汗しみやファンデーション汚れを「水洗い」したのち
石油系溶剤でクリーニングし、きれいにプレス加工して仕上げることを言います。

チリ・ホコリのような一般的な汚れは石油系溶剤で落ちますが
塩素系の汚れ(汗しみ等)、水性の汚れ(水しみ等)、油性の汚れ(ファンデーション等)は
水に濡らし専用ブラシでこすり落とす工程を行わないときれいに落ちないためです。

業者さんによって違いがありますので、「丸洗い」をオーダーされる折には
どんな作業が含まれているか確認してみてください。

▼シミ沈着や黄変した場合は「シミ抜き」「金彩加工」「染め替え」

長期間汚れを放置して沈着したり、カビて黄変してしまったものは「丸洗い」だけでは落ちません。
この場合、きれいに修復する選択肢としては3通りほど考えられます。

(1)シミを落とす=シミ抜き
(2)シミを隠す=金彩加工 ※吹雪加工や刺繍加工なども有り
(3)着物ごと色をかけてシミを消す=染め替え

ダメージ具合や、シミが出た場所によって可能な加工方法も変わりますが
どれも未然に防げるものが多いので、ここまで進行する前にストップさせることが重要です。

▼汚れを未然に防ぐ「ガード加工」

今までご説明してきたような汚れを未然に防ぐ方法として広く活用されているのが
「ガード加工」という技術です。
パールトーン、アプトネス、すこやかガードなど、業者さんによりいくつかの種類がありますが
基本性能は「水や汚れをはじく!」という特徴です。
水滴(水だけでなくコーヒーやしょうゆ等も)をビニールの上を転がるように弾いてくれます。

注意点があるとすれば2点。

(1)将来的に染め替えを想定されている場合には、ガード加工を落とす工程が必要になる事。
(2)一度以上着た後にガード加工をかけると、見えない汚れごと繊維内に閉じ込めてしまう可能性がある事。
※そのため、ガード加工をかけるなら一度も着ていない着物に行う事をおすすめします。



以上、第一部『着物のお手入れ』についての開催レポートでした!
汚れはかならず大なり小なり付くものですから、汚れた際の対処方法をしっかり把握して、
気兼ねなくお着物を楽しんで頂ければと思っています。


次回の記事では、第二部『西陣引箔帯の魅力と希少性』についてをレポートします。



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